憧れの注文住宅、いざ間取りを決める段階になってみると、やりたいことが多すぎでまとまらなくなってしまうなんて方も多いです。
また見栄えを重視した間取りやこだわりが強すぎる設計だと、実際に生活するうえで使いにくさや不便を感じることも珍しくありません。
そこで今回は、注文住宅の間取りを決めるうえで避けた方がいい間取りや対策法について、コラム記事の前編と後編に分けて解説をしていきます。
間取りの失敗例と対策法
家づくりには、「正解」がないのが事実で、住む人や好みによって適切な間取りが変わっていきます。
しかし、明らかに生活に支障をきたすような間取りや、不便を感じるような間取りには共通点も多く、できれば避けたいものですよね。
ここでは実際に住宅設計を行っていた建築士の目線で、間取りの失敗例とその対策について解説をしていきますので、参考にしていただければと思います。
吹き抜け
開放感ある吹き抜けは根強い人気があり、注文住宅で取り入れたいという方は多いです。
吹き抜けは天井高を確保できるためリビングのアクセントにもなりますし、とてもおしゃれに見えますよね。
しかし、気を付けたいのが冷暖房の効きの悪さです。
吹き抜けで天井に高さがある分、冷暖房費が効きにくく冷暖房費用が高くなりがちです。
[対策]
どうしても吹き抜けを採用したいという方は、全館空調を採用すると、年間を通して過ごしやすい空間にすることができます。
もしくは一部分のみの狭い範囲の吹き抜けや、玄関やエントランスホールなど冷暖房に影響がない部分の吹き抜けにすることで、生活上の不便を最小限にすることができます。
さらにシーリングファンを活用すると、空気の循環を促せるため冷暖房効率があがります。
リビングイン階段
子供部屋がリビングと別フロアにある設計を希望している方は、子供との接点をつくるためにあえてリビングイン階段にされるケースも多いです。
リビングイン階段は家族の存在をお互いに感じることができるため、温かみのある雰囲気のなかで安心して生活することができます。
一方で、階段を通じて2階にまで空間が広がるため、エアコンが効きにくい、音が広がりやすくプライバシーが保ちにくいといったデメリットがあります。
特に暖気は上に上がるため、冬場の暖房は効きにくいと言われています。
また、リビングに大きな階段があることで、配置や素材によっては圧迫感を感じるといったデメリットもあります。
[対策]
吹き抜けと同様に全館空調にすることで、階段の存在に左右されず過ごしやすさを維持できます。
音に関しては、それぞれの個室や寝室を防音扉にして、壁を厚めにすることで一定の防音効果を発揮できます。
階段の圧迫感は、壁で囲むような形状ではなく、写真のような一方もしくは両方の手すりがオープンタイプのスケルトン階段を使うことで圧迫感を軽減できますよ。
大きな窓
家づくりにおいて、大きな窓は開放感があって部屋全体を広く見せることができるため、誰もが憧れる設計ですよね。
しかし、実際の生活を考えるとそうではないことも多いです。
大きな窓は開放感と意匠性を向上させてくれる一方で、夏場の強い日差しや西日によって、大きな窓をつけた部屋が生活しにくくなってしまうことがあります。
特に大きな窓から入り込む西日は部屋の温度を急上昇させてしまいます。
何の対策もしていないと、その場にいれないほど暑くなったり眩しくなったりしてしまうのです。
[対策]
大きな窓を取り入れる際には、太陽の高さで上下に調整できるロールスクリーンやオーニング(日よけ)を取り入れると、室内温度の急上昇や眩しさを防げます。
また、西日が入り込む位置はできるだけ大きな窓の設置を控えるといった設計の見直しも手段のひとつです。
リビングイントイレ
施主の希望によっては、リビングのなかにトイレを収める設計も珍しくはありません。
例えば、小さいお子さんがいて目の付く場所にトイレが欲しい、二世帯同居で介護が必要なため移動しやすいリビングにトイレを置きたい、などリビングのなかにトイレを設ける理由はそれぞれです。
しかし、気をつけたいのが食事のときや来客時のトイレの使用です。
リビングで食事をしている最中、トイレの使用はけっこう気になる方もいるかと思います。
またお客様にとっても、トイレの音がリビングに筒抜けになってしまうのは気まずいでしょう。
[対策]
リビングにどうしてもトイレが欲しいという方は、トイレの前に壁や仕切りを設けるなどして、リビングから直接目線がいかない工夫をしましょう。
トイレを防音仕様にすることもできますし、広いリビングであればキッチン付近など人がくつろがないような場所に設置することで、トイレの出入りが気になりにくくなります。
その他には、家族用トイレと来客用トイレを分けて設置する方法もありますよ。
ランドリールーム
最近はランドリールームを希望する方も増えています。
ランドリールームとは、アイロンがけや室内の洗濯物干しの負担を減らしてくれる家事専用のお部屋です。
一般的には洗濯機を設置するすぐ近くに設けることで、家事の導線をまとめることができます。
しかし実際に使ってみると、狭すぎて家事がしにくいなどの声もあります。
アイロンがけや洗濯物干しは、思うよりも動作が大きくなりやすい家事でもあるため、この作業分のスペースを考えられていないと使いにくいランドリールームになってしまうのです。
[対策]
ランドリールームは最低でも2~3畳の広さで計画するようにしましょう。
アイロン台や物干し竿も、出しっぱなしになってしまうと家事の邪魔になったり、圧迫感が出てしまうため、使用後に収納できるように工夫しましょう。
手狭なランドリールームは却って無駄なスペースになりかねません。
十分なスペースが確保できない場合はあえて無理に作らず、その分のスペースを家事がしやすいようにリビングの広さや収納に割くといった方法もあります。
まとめ
今回は、注文住宅で注意したい間取りやその対策について解説をしてきました。
インターネットやSNSの影響もあり、お洒落な間取りや流行の間取りの情報を簡単に入手することができるため、「うちでも真似したい!」と参考写真を持参される方も増えています。
しかし生活スタイルは家族それぞれですので、本当に家族のニーズに合っているか、使い勝手は悪くないかを考えていく必要があります。
後編では、さらに細かい部分についてのご紹介させていただきます。
家づくりの相談やお悩みがございましたら、いつでも弊社の「注文住宅の無料相談窓口」をご活用くださいね。