注文住宅は設計の自由度が高い反面、使い勝手をよく考えないまま設計やレイアウトを決めてしまうと、見た目はよくても使いにくい間取りになってしまいます。
使い勝手の面では住宅設計すべてに言えることですが、特に注意が必要なのがキッチンの設計・レイアウトです。
そこで今回はキッチンの種類などを解説しながら、レイアウトの特徴やメリット、またプランニングの際に注意しなければいけないポイントについて解説をしていきます。
キッチンの種類
キッチンにはいくつか種類が存在することを、ご存じの方も多いかと思います。
見た目でなんとなく違いを区別している方も多いのではないかと思いますが、キッチンの種類や名称を知っておくと、設計の際にスムーズに進めることができます。
すべての種類までは覚えなくても、もちろん問題はありませんが、「こんな形があるんだ」「このキッチンはこんな名前なんだ」程度にでも覚えておくと便利ですよ。
I型キッチン
I型キッチンは、シンクや調理台、コンロが一直線に並んでいる種類のキッチンをいいます。
キッチンの設置幅を取らないため、スペースが少ない場所でも設置できるメリットがあります。
Ⅱ型キッチン
平行に並んだ2列の作業台があるキッチンを、Ⅱ型キッチンと呼びます。
Ⅱ型キッチンは、シンクとコンロが別々の作業台に設置されている形が一般的ですが、I型キッチン+作業台といった形状のものもあります。
作業スペースや、収納スペースを広く取れる点がメリットです。
L型キッチン
L型キッチンは、L字型に約90度程度に曲がった角を持つキッチンです。
シンクとコンロは別の列に配置されることが多く、その間を作業スペースとしている形状が一般的です。
効率的な動線を確保しつつ、狭いスペースにも配置ができるというメリットがあります。
コの字型キッチン
コの字型キッチンは、Ⅱ型キッチンをつないだような形状で、カタカタのコの字のような形状のキッチンです。
広々とした作業スペースや収納スペースの他に、家電などを置くスペースを作業台と同じ場所に設けることもできるメリットがあります。
キッチンのレイアウト
気になるキッチンが見つかったら、今度はキッチンのレイアウトを考えていきましょう。
キッチンの種類によってはレイアウトできないものもあります。
配置したいレイアウトがある場合は、キッチンの間取りを決める時点でキッチンの種類とレイアウトも含めて確認しておく必要があります。
壁付けキッチン
壁にキッチンをつけるレイアウトを、壁付けキッチンと呼びます。
壁にキッチン部分がすべてつくように配置をするという意味では、I型キッチンのみの対応となります。
壁に一部分がつく形状であれば、Ⅱ型キッチン、L型キッチン、壁が直角の部分に配置するのであればコの字型キッチンが対応となります。
[対応可能なキッチンの種類]
I型キッチン、Ⅱ型キッチン、L型キッチン、コの字型キッチン
ペニンシュラキッチン
ペニンシュラキッチンは、キッチンの片側側面が壁についている形状のレイアウトを示す名称です。
I型キッチンを対面キッチンとして使う場合や、Ⅱ型キッチンが対応となります。
[対応可能なキッチンの種類]
I型キッチン(対面)、Ⅱ型キッチン
アイランドキッチン
アイランドキッチンは、四方が壁から完全に離れており、独立した島のような形状のレイアウトです。
I型キッチンがアイランドキッチンとして使われるのが一般的です。
[対応可能なキッチンの種類]
I型キッチン(対面)
キッチンの設計・レイアウトの注意点
キッチンの種類やレイアウトを知ることで、どんなキッチンにしたいか具体的にイメージができたのではないでしょうか。
しかし冒頭でも触れたように、好みや見た目だけで決めてしまうと、せっかくこだわったキッチンも不便に感じてしまうことがあります。
そこで最後に、キッチンを快適に使うために気を付けていただきたい、キッチンの設計・レイアウトについて解説して終わります。
必要な収納量が確保できているか
人気のあるアイランドキッチンやオープン型のキッチンで度々問題になるのが、キッチン本体の収納不足です。
見た目がおしゃれなことで、ここ近年はアイランドキッチンを取り入れる家庭も多いですが、独立している形状上どうしても収納が不足する傾向にあります。
収納に問題がないか確認し、不足分はパントリーや収納の追加などで補うなどの工夫が必要です。
動線に無駄がないか
キッチンだけではなく、その他の水回りやリビング・ダイニングとのつながりを考えたうえで、キッチンの形状やレイアウトに無駄がないか確認が必要です。
キッチン本体は使いやすい形状か、またパントリーなどを利用する際にキッチンから出入りがしやすいレイアウトか、などもよく検討する必要があります。
家電の配置スペースが十分にあるか
よくある失敗例としては、冷蔵庫が大きすぎて入らない、炊飯器や電子レンジを置いたら作業スペースが思ったよりも狭くなったというものです。
キッチンは生活品や家電を置いていないと広く感じますが、実際生活するうえで必要なものを想定して問題がないのかを確認する必要があります。
冷蔵庫などは家族の人数や食材の買いだめの有無などによっても大きさが変わるため、予め必要なキッチンのサイズを調べてから設計を依頼することが大切です。
水回りの配管位置を考慮する
よく水回りは集中させた方が良いと言われますよね。
それは、洗面所やバス、トイレなど水回りに関する設備はできるだけ近い場所にまとめた方が、配管スペースもコンパクトかつ工事費用も抑えられるためです。
また、配管は定期的なメンテナンスや、場合によっては漏水などによる修理が必要になりますので、その際も水回りは集中していた方がランニングコストが抑えられます。
そういった面でも、キッチンの間取りや設置場所、レイアウトなどを考慮してチョイスする必要があります。
特にアイランドキッチンといった壁から独立したタイプは、配管スペースを確保するために収納スペースが圧迫されがちです。
その点も注意が必要です。
まとめ
今回のコラムでは、キッチンの設計・レイアウトに関する内容でした。
キッチンは水回りで唯一生活空間の中に入り込む水回り設備ですので、しっかりとした準備をしてからプランニングをしていく必要があります。
その他、注文住宅に関するお悩み・ご相談がございましたら、弊社の無料注文住宅の相談窓口をぜひご活用ください。