
気に入った土地が見つかった。日当たりもいいし、値段も手ごろ。早く押さえないと、他の人に取られてしまうかもしれない。そう思って、土地の契約を急ぎたくなる気持ち、よく分かります。
でも、鹿児島で家を建てるなら、そのハンコを押す前に、ひとつだけ知っておいてほしいことがあります。土地の下にある地盤の話です。
僕はこれまで、鹿児島で200家族以上の家づくりに横で付き合い、130棟以上の現場を見てきました。その経験からはっきり言えるのは、鹿児島で一番もったいない失敗は「土地を先に買うこと」だ、ということです。今日は、シラス台地の地盤と、土地を決める前に確認したい3つのことを話します。
シラス台地って、家づくりに何が関係あるの?

むずかしい話はしません。シラスというのは、大昔の火山の噴火で出た灰や軽石が、分厚く積もってできた地盤のことです。鹿児島をふくむ南九州に、広く分布しています。
やっかいなのは、その性質です。シラスは、乾いているときはカチカチに固いのに、水をたっぷり含むと、もろく崩れやすくなります。大雨のあとに、崖(がけ)がすべり落ちる。あのニュースを見たことがある人も多いと思います。あれも、シラスの性質が関係しています。
家を建てるときは、この地盤が、家の重さをしっかり支えられるかどうかを調べます。支える力が足りないと判断されたら、地盤を補強する工事——地盤改良(じばんかいりょう)が必要になります。この工事には、それなりのお金がかかります。
土地を先に買って、地盤改良費で予算が狂った話

この間も、こんなご夫婦が相談に来ました。「気に入った土地が見つかったので、先に契約しました」。うれしそうな顔でした。
ところが、その土地は、地盤を補強するのにかなり費用がかかる場所でした。土地の値段は安く見えたのに、地盤改良の工事費を足したら、予定していた総額をあっさり超えてしまった。話を聞きながら、正直に言うと、僕は少し胸が痛くなりました。もう土地の契約は済んでいたからです。
土地の値段だけを見て「安い」と判断すると、こういうことが起きます。安く見えた土地が、地盤改良を足すと一番高くつく。逆に、少し高く見えた土地が、地盤がしっかりしていて総額では安く収まる。これは、一度や二度の話ではありません。
家づくりのお金は、土地の値段だけでは決まりません。土地と、その下の地盤と、家の予算。この3つは、はじめからセットで考える必要があります。
土地を決める前に確認したい3つのこと

では、どうすればいいか。土地の契約を決める前に、最低でもこの3つは確認してほしいです。
1. 過去に地盤の調査がされているか
その土地や、すぐ隣で、前に家を建てるための地盤調査がされていないか。もし記録があれば、地盤の強さをある程度は事前に読めます。まったく手がかりがない土地よりも、リスクが見えやすくなります。
2. 近くで崖崩れや擁壁のトラブルがないか
擁壁(ようへき=土がくずれないように支える壁)にひび割れがないか。過去に近所で崖崩れがなかったか。こうした周りの様子は、その土地の地盤の状態を映す鏡になります。
3. 大雨で水がたまりやすい場所ではないか
雨が降ったあと、水がなかなか引かない。そういう土地は、シラスにとっては相性がよくありません。晴れた日に一度だけ見て決めるのではなく、雨の日の様子まで想像してみてください。
地盤改良の費用は、どれくらいかかる?

いちばん気になるのは、ここだと思います。ただ、正直にお伝えすると、地盤改良の費用は「土地によって本当に幅がある」としか言えません。数十万円で収まることもあれば、条件によっては200万円を超えることもあります。
金額がこれだけ動くのは、地盤の弱さ、家の大きさ、どの補強方法を選ぶかで変わるからです。だから、ネットで見た平均額を、あなたの土地にそのまま当てはめるのは危険です。ここは、実際に調べてみないと分かりません。最後は一緒に確認しましょう。
大事なのは、金額そのものより「土地を契約する前に、この費用の見当をつけておく」ことです。順番さえ間違えなければ、予算が後から崩れる後悔は、かなり防げます。
よくある質問

Qシラス台地なら、必ず地盤改良が必要ですか?
A必ずではありません。同じシラスでも、しっかり締まっていて改良がいらない土地もあります。逆に、見た目は普通でも補強が必要な土地もあります。だから調べてみないと分からない、というのが正直なところです。
Q昔からある住宅地でも、地盤改良はいりますか?
A古くから家が建っている土地は、比較的安心なことが多いです。ただし、田んぼや谷を埋めて造成した土地だと、話は変わります。土地の成り立ちまでさかのぼって見ることをおすすめします。
Q地盤の強さは、誰がいつ調べてくれるんですか?
Aふつうは、住宅会社が決まって、土地の契約の前後で調査します。でも、それだと契約を急かされて動けないことがあります。土地を決める前に、第三者の目で一緒に見ておくと、慌てずにすみます。
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